第26号 2006年(平成18年)12月10日 (8) |
5年の歳月をかけた分校への思い 葛南分校1期 須賀常吉さん |
国府台高校葛南分校のことを私たちはどれだけ知っているだろうか。 昭和26年から56年までの30年間、現在の行徳地区で勤労青少年たちの教育を担ってきた学校である。 分校が青春そのものであった須賀さんは、閉校に際して分校への思いを断ち難く、気の済むまで付き合ってみようと、分校についての本づくりを始めた。何か の形で記録を残さなければ人々に記憶も薄れ、資料も散逸するのではと思い、この方法しかないと、ガリ版刷りで5年を費やし『私版・葛南分校史』を作り上げ 昭和60年刊行した。 須賀さんは、「誰に頼まれたわけでもなく全く自分勝手で始めたことで、その上、学校という公機関の30年にわたる歴史を一卒業生が綴ることの僭越さ、不 確かさについてお叱りを受けるのではと、覚悟の上でした。しかし身の程知らずの私におとがめもなく、心にしみる文章や貴重な資料をお寄せくださった先生方 や同窓生の皆さんのご厚情には感謝しています。」と語られた。 また、この仕事を通じて多くの人ノ心の中に葛南分校が生き続けていることや、小さな分校で得たものがどんなに大きいものであったかを感じ取ることができたとも。 5年の間にはいろいろな意見や協力の申し出などもあったとのことだが、感謝しながらも自分の気持ちを中心に自分の仕事として取り組まれた。しかし『私 版』と言っても一人でできたことではなく、実際には資料集め、原稿寄稿、印刷、製本等々、多くの方々の協力、支援があったからこそできたことと感謝されて いる。また、一番身近な協力者だったのは級友でもあった奥様だった。5年間、家庭のことは全部任せきりで分校史に入れこんでいたとのこと。 多くの人の支えがあったとは言え、5年の歳月をかけた努力と根性には敬服の一言しかない。 葛南分校は消えても行徳高校定時制として夜学の灯は受け継がれている。 |
抄録・その1
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今回から、葛南分校一期生、須賀常吉さん執筆の『私版・葛南分校史』より、葛南分校の歴史のみならず、国府台高校の全体像をつかむ上での資料として特に興味深く貴重な部分を抜粋し、何回かに分けて紹介します。 |
分校創立について 元国府台高等学校長 内藤 貫一
県立国府台高校は、昭和25年4月1日をもって、市川市立から県立に移譲された。私は、その初代の校長として赴任した。当時の国府台高校は、旧軍の施設
を使い、名ばかりの校舎、校庭で市立第一中学校も同居していた。日時は忘れたが、旧砲廠で県立移管の祝賀式が行われた。床はコンクリートで所々に野砲を修
理する大きな溝もあり、屋根だけの今の皆さんには想像もできない粗末極まりないものであった。この席上で葛南分校は、設立の声が上がったのである。祝辞に
立った、浦安の宇田川県議は、県立移管を祝うと共に、葛南三町(浦安町、南行徳町、行徳町)を対象として、国府台高校の分校を設置せよと叫んだのである。
このため、私は三町の町長と話し合いを早速した。その結果は、当時葛南三町は、交通事情が悪く、国府台高校への通学は、きわめて不便であり、分校の設置は
ぜひ必要との結論に達した。このため、私は三町と協力して分校設立に努力した。校舎は三町の中心である南行徳の中学校の校舎を使用、したがって授業は夜間
とする計画であった。地元三町の熱意により、県教委との折衝が繰り返され、ついに昭和26年度より開校ということになった。しかし問題の解決が早かっただ
けに、分校開校への準備も大変なことであった。分校の経営については、県は財政上の事情から、教員の人件費は出すが、他の設備費、需用費は地元負担という
ことであったので、必ずしも豊かでなかった財政の三町との話し合いには頭をいためた。しかし三町の積極的な協力によって、教室の照明、図書室の整備、教材
教具の購入など順調に進み、昭和26年4月には予想以上の生徒70数名の入学者を得て、開校したのである。開校後も三町の熱意により、設備は充実し、生徒
と教職員が一体となって、県内でも屈指の分校として成長していったのである。分校の設立とその後の学校経営についての三町の関係者に対し心から感謝と敬意を表します。又、学校運営について、南行徳中学校、南行徳小学校の校長始め諸先生方のご協力も忘れることができません。 |
内藤貫一元校長 在職:昭和25年3月 〜昭和40年7月 |
平成18年11月18日(土)6時より、市川公民館視聴覚室で同窓会とPTAの共催で、昭和38年公開の日活映画“川っ風野郎たち”の鑑賞会が行われた。 この映画は香山美子[こうやま よしこ]さん(ご主人は元葛南分校国語担当、香山登一先生)原作「あり子の記」の映画化で、香山さんはこの作品で35年度日本児童文学者協会賞・NHK児童文学奨励賞を受賞された。 葛南地区を舞台に魚の行商をしながら分校に学ぶ“じゅん”とその妹の“あり子”を通して、貧乏や差別のきびしい生活の中で助け合いながら勉学に励み胸を張って生きて行く定時制高校生たちの姿が描かれている青春映画である。 和泉雅子、山内賢、となつかしい俳優たちの主演で当時の葛南分校の状況もリアルに写されていて昭和38年頃の本校も「千葉県立八幡高校」として画面に登場している。 かつて分校創立20周年の年(昭和46年)ね同窓会葛南分校支部の主催で、20年の足跡とそこに学んだ意義を確かめるためにこの映画の上映会を開いてい る。今回、国府台高校の全体像を知る上にも、是非もう一度上映会をしたいと同窓会での意向が高まり、実現のために1年近くの日数を費やした。 フィルムは浦安市の視聴覚ライブラリーの所蔵で、貸し出しはできないとの事だったが、市川市映像文化センターの仲介もあり、特別の配慮で借りる事ができ、映写の方も映像センターの方にお世話いただいた。 当日は、映画上映の前に1時間ほど、田中愛子さん(9期)の司会で、原作者の香山美子さん、当時の教職員であった和田正武先生と中村祐次先生、分校一基 卒業生の須賀常吉さんと東和男さんに出席いただき、座談会が開かれた。それぞれの立場で当時の思い出が話されてとても興味深かった。 観客は50名ほどで、当時の市川、浦安の風景をなつかしがる人、古い市川も知ることができたと興味を持った人と、それぞれに有意義な鑑賞会であった。 鑑賞会実現のために力添え下さった各方面の方々に感謝している。 |
中村祐次さん(1期) 墨彩画展(芳香社作品展) 市川市文化会館 平成18年 7月9日〜7月16日 菊地孝行さん(9期) 大友早苗さん(11期) 市川デッサン会制作展 市川市文化会館 平成18年 10月25日〜10月31日 森祥子先生 ピアノ演奏(新ビヴァルディ合奏団演奏会) 第一生命ホール 平成18年 10月29日 |
相沢邦広さん(33期) 写真画展 木内ギャラリー 平成18年 10月27日〜11月5日 佐藤錦一さん(3期) 「市川の文化芸術市民案内人養成講座」美術コース 講演:工芸について 市川市文化会館 平成18年 11月12日 |