千葉県立国府台高等学校創立60周年記念事業について(答申)

はじめに
 平成13年12月1日、布施校長より同窓会、PTA及び学校の代表として9名が記念事業検討委員として委嘱され、本校が平成15年度に創立60周年を迎えるにあたって、本校にふさわしい有意義な記念事業について幅広く検討してほしいと諮問があった。
 これを受けて本委員会では、以下のとおり多岐にわたって細かく検討したので、ここに答申します。
 さて、わが国では、「地域の信頼に応える学校づくり」すなわち、「地域で育つ、地域を育てる学校づくりを進めるべきである。」と言われています。本校は創立以来60年の長きにわたってまさに地域の理解を得て発展し、地域で活躍する有為な人材を多数輩出して来た。
 また、本校の教育実践を鑑みると、2年生で実施している校外学習は、旅行先の地域の人からさまざまな話を聞きまとめる調査研究であり、人々の生き方を学ぶたいへん貴重な学習の機会である。しかも、こうした学習活動がこれまでに25年もの実績を重ねて来ている。
 一方、鴻陵祭も同様に他校には見られないレベルの高いすばらしい生徒の取り組みがある。生徒会を中心に自主的・自律的な企画・運営には驚くものがある。そして、3年生のクラス演劇は、演じる者それを見る者が一体となることができるなどまさに3年間の教育の成果が随所に見られるものとして特筆されると言ってよいだろう。
 高校時代を大学への単なる通過点ではないとする生徒及び教員の意識が滲み出てくる最大の行事として評価できるであろう。すなわちこの鴻陵祭こそ本校の教育の象徴であるとも言えるのではないだろうか。
 また、今日いわれている開かれた学校の推進や学校評価の在り方という観点で本校の教育を鑑みたとき、今こそこのような本校の貴重な数々の実践をこの創立記念事業の実施を通して地域や教育関係機関等に広く公表していくことが重要であると考え、慎重な検討に心がけてきた。

一 実施の意義
 本校は、特色ある教育実践を永年にわたり数多く積み重ねてきた。これらは学校関係者の努力は言うまでもないが市川市を含めた地域や保護者の理解の賜物であるとも言える。これまでの教育実践を創立60周年を契機として、学校はPTAや同窓会と一体となって地域等にこれまでの教育実践を広く発表し、本校生徒に誇りと自覚を持たせ今後の本校の発展に期する機会とするのが適当である。

二 実施の時期
 創立記念日が6月1日であることからこの日に実施するべきかも知れないが、新学期早々であることや年度末人事異動があること、現行ではグリーンスクールが予定されている時期であることを考え合わせると、やはり2学期が望ましいと言える。
 したがって、準備期間が少ないということではあるが、本委員会はたとえ簡素であっても創立60周年記念事業を平成15年の秋になんらかの形で実施するということが適当である。

三 記念事業の内容
 本校の創立60周年記念事業案の内容を次のとおりとすることが適当である。
 1 記念式典の挙行
 2 記念祝賀会の開催
 3 記念誌の発刊等
 4 記念品等

四 各内容とその解説
 1 記念式典は、いろいろ考えられるのでいくつか挙げておきたい。

(内容)
・セレモニーを中心としたタイプ
校長、同窓会長、PTA会長、生徒会長等による祝辞、本校の発展に尽力された方への表彰、記念講演(体育館での全校の生徒参加、地区中学校長及び高等学校長、地域関係者の来賓出席)
・記念イベントタイプ
・芸術鑑賞会を中心としたタイプ
 芸術鑑賞会をメインにしたものとして実施。校長、同窓会長、PTA会長、生徒会長等による祝辞、本校の発展に尽力された方への表彰等のセレモニーは鑑賞会の初めの部分で行う(特に来賓等招かず、校内行事として実施するタイプ)
(解説)
 本校の創立60周年は、長い歴史のなかで大きな節目と言える。この機会にあたって、同窓会、PTA及び学校が一体となってひとつの行事を挙行することは、生徒にも大きな意義があると確信する。本校の関係者が創立記念を祝うというものに終わることなく、本校の更なる発展を期する一助にすることに留意することが大切と考える。本校は、特に文化面での生徒の活動に特色があることを鑑み、文化の香りの高い内容のものを考えたい。その意味からも記念式典は挙行することが適当である。
 なお、参考として付記しておくが、創立10周年(昭和28年)及び20周年(昭和38年)の記念式典は実施されているが、その後は実施されていない状況である。
 2 祝賀会
(内容)
 出席を希望する関係者でホテル等の外部の施設を使用して実施するのが適当である。
(解説)
 その内容の性格上、生徒が参加できないものが一般的であることから会費制でPTA、同窓会の各会員から出席を希望する者で実施するのが適当である。
 なお、同窓生及び生徒の保護者にも案内状を送付するように配慮をしたい。
 3 記念誌
(内容)
 本校の発展の推移が記録として残されるようなものにするのが適当である。
 また、この時代であるから、今後はビデオで綴る国府台(仮称)なども考えてはということが職員の一部からも意見が出ているので、ぜひ検討してみてはどうか。
(解説)
 近年、多の県立高校のそれを見るとその学校の教育実践とその記念誌の厚さが比例しているかのような傾向が見られる。経費の面から見てもたいへん高額となるので、本校にふさわしい文化的内容に富んだものにするのが適当である。
 しかし、記録をきちんと整理することは学校の教育実践をまとめることになるので、その編集は困難な作業ではあるが是非とも刊行されることを願っている。
 なお、本校では、40周年記念誌のみ刊行されているが、その担当者の記録を見ると創立以来の記録を整理することは察するに余りあるようである。このことから考えても、少なくとも10年ことには記録を整理しておくことが大切であろう。


 4 記念品等
 体育館に緞帳などを記念に寄贈する例も聞く。学校に何か目に見えるものを記念に寄贈することにしてはどうか。

五 生徒の参加について
 この本校創立60周年という節目の年を生徒にも考えさせることは、教育的にも意義があるものと言える。これを記念した行事を生徒会等を通じて企画させることも一つの方法であろう。また、これまで実施してきた球技祭や鴻陵祭等の生徒会行事についても、創立60周年記念と銘打って実施し記念事業の一環としてはどうだろうか。
 ただし、この場合は例えば記念賞を出すような企画については予算的な補助は当然配慮すべきであることは明記しておきたい。
 また、前述した記念事業についての準備委員会等には生徒の代表を加えることはせず、例えば記念式典の進行の一部を担当してもらうなどを考える方法もあること提示しておきたい。もちろん、生徒の意見は採り入れて行くべきではあることは十分認識しているが、この点については学校側の代表を通じて反映するように配慮することは言うまでもない。

六 予算(財政的な措置)
 どこの高校でもこの財政的な面で課題として抱えることが多い。上記に挙げた記念事業を実施しようとした場合の概略予算を試算すると以下のとおりになる。

1 記念式典   (記念式典のリーフレット等の印刷費)  30万円
2 祝賀会    (参加者による会費制で運営)       (別途)
3 記念誌    (2,000円 × 500部     100万円
4 同窓会名簿  (同窓会で検討)             (別途)
5 記念品等   (緞帳等の記念になるものの寄贈)   100万円
6 雑費等                        30万円
                        合計  260万円
(解説)
 今日の社会的な状況から考えて、最小限に抑えた記念事業規模にすることが適当である。どこの学校でも記念事業のための資金を賄うことは容易ではないと言われている。従って、PTA等が早くからこうして周年事業のために毎年少しずつ積み立てている学校もあると聞く。また、このような記念事業のために特別な寄付活動を行う学校もあるようだ。
 本委員会は安易に寄付活動による資金調達を中心に据えた計画は断じて避けるべきであると判断した。
 したがって、PTAや同窓会の負担で行うことが適当である。記念誌の厚さや派手な事業を行うことが記念事業の盛大さや大成功を物語るものではないが、記念誌だけは本校の教育の記録であり指導の歴史であるという観点から最小限のものはまとめておくことが適当である。
 記念誌の発行部数については、保存及び最小限の関係する教育機関等への寄贈を考え、500部としたい。
 なお、発行時期については、配付方法等を考慮すると記念式典及び祝賀会の実施時期に合わせるのが望ましい。


七 まとめ
 この検討委員会は、本校の創立60周年記念事業について以下のとおり答申します。
  一、記念式典は、既存の学校行事等とタイアップした形で実施する。
  二、記念誌は、最小限の規模で本校にふさわしいものを発行する。
  三、記念品は、この60周年記念としてなにか後世に残るものを学校に贈呈する。
  四、祝賀会は、同窓会が中心となって会費制でPTAも含めた形で多くの参加で行う。
 本答申は、正直なところ急いでまとめたきわみはありますが、本委員会の熱意と真意のほどを十分にお酌み取りいただき、簡略であってもなんらかの形で実施されますよう切に期待します。
 この記念事業の実施にあたっては、関係者の理解を得られるように十分に時間をかけるように努力されることを希望します。
 最後に、学校職員はもとよりPTA及び同窓会の皆様には、本答申の趣旨について多大なご理解とご協力をお願いします。
 

千葉県立国府台高等学校長  布 施 守 様

 平成14年3月吉日

千葉県立国府台高等学校創立60周年記念事業検討委員会
  委員長  沢田大八郎
  委 員  加藤 徹
   〃   原子 緑
   〃   海野 勉
   〃   千葉 良夫
   〃   岩波 敬二
   〃   岡野 茂
   〃   小田 敬幸
   〃   小出 正史